A/N=Prose

おおむね言いたいだけ。

【167】映画「ドント・ブリーズ2」感想:弱い自分を何度でもずっと喰らい尽くす怪物

盲目の老人の住む家に侵入した強盗犯たち。
しかし老人は特殊部隊の隊員だった過去を持っていたから、さぁ大変。
怪物じみた老人によって強盗犯たちは一人、また一人と血祭りにあげられていくのでした。
「老人がんばれー!」と応援したくなるものの、しかし老人は老人で更なる秘密を抱えていて…。

という感じで色んな意味で衝撃的だった前作があって、次はどう作るのかと思っていたらコレが出ました。
正直、どのツラ下げて主人公側として成り立つのかと思っていましたけれど杞憂でした。
新たな強盗たちが家に侵入してくるのですけれど、その強盗側が前作よりも非道な輩だと事前に描写する事で老人側に心情を傾けやすくなっています。
その前段階でちょっとした優しさも見せていますしね。

中盤まで強盗が何故ピンポイントで老人宅を狙ったのかが分からないので少しモヤモヤしました。
判明してからは納得しましたし、心の天秤が強盗側に傾きそうにもなりました。
しかし前作同様、ある秘密が開陳される事で今度は「老人がんばれー!」となるのが作りとして面白いです。
ただ、ざっくり前半戦と後半戦があるのですけれど、前半戦は老人にあまり良いところが無いのは難点ですね。
強盗たちの後手に回りすぎです。
守るべきものがあるから仕方ないとは言え、相手を亡き者に出来るのに接着剤アタックとかしてよく分かりません。
相手を中途半端に戦闘不能にした事でしっぺ返しを食らったりもするので、老人の選択ではなく物語の都合でそうしたように取れてしまって…。

前作ほどのハラハラ感やどんでん返し的なものは無いにしても、独りの男の再生と旅立ちの物語として上手く落とし込めた作品でした。
前作を観ていなくても問題ありませんけれど、出来れば前作を履修してから観て欲しいです。
悲しき怪物の結末とは。

鑑賞に関しての注意点として、グロいと言うか痛々しいと言うか、ぼちぼち目を背けたくなるような描写があります。
あと、犬が悲しい目に遭う展開もあるので、それが嫌な人は注意しましょう。
世の中には動物が痛い目に遭う作品を見ないという信条の人が居るそうです。
批難はしませんけれど、人間が痛い目に遭うのは許せるのは不思議な感覚だと思いまして。
まぁ、人間だろうが動物だろうが怪物だろうが痛い目に遭わない方が良いですし、少なくとも現実ではそう在って欲しいですけれど。

人間も動物も怪物も、みんながみんな救われて、みんながみんな報われる世界になると良いですね。
亡くなった灰の中から飛び立つフェニックスとは良い命名でした。