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【044】PSV「俺の屍を越えてゆけ2」:冒頭体験版で感じた、完成度ゆえの飽食

初代プレイステーションで発売され、10年以上の時を経てプレイステーション・ポータブル版としてリメイクされた名作RPG俺の屍を越えてゆけ」。
2014年、その正統後継作がプレイステーションヴィータに登場しました。
その体験版の感想と言うか、レビューじみた雑感をば。

日本の平安時代や戦国時代あたりを混ぜ込んで作られた和風ファンタジー。
主人公は前作と同じく、短命と種絶の呪いを受けた一族です。
成人するまでが恐ろしく早いものの、寿命もまた恐ろしく早く、長くても2年ほどしか生きられません。
そして、通常のやり方では子を為す事が出来ないため、神様に奉納点を捧げる事で子供を作って貰います。
生まれてくる子も呪いにかかっているので、延々と代替わりしつつ一族そのものを強化しつつ、迷宮を探索して、目的達成に向けて進んでいく事になります。

それが、特徴であると同時に、弱点です。

このゲームでは基本的に、特定の人物に愛着を持って育てる、という事が出来ません。
やっても小一時間ほどプレイすれば寿命を迎えるので、それをどう捉えるか。
悲しみを乗り越えていく部分に身をひたせるか、不快感が勝ってしまうか。
そのシステムはRPGというより、競走馬を扱った育成SLGに近いと思います。
特定の人物を育てるのではなく、一族そのものを育成していくゲーム。

物語もあるにはありますけれど、アクの強い方々が出て来ては好き勝手言って進んで行くような形。
しかも皮肉げに嗤われて、いいように使われる事が多く、それもまた、プレイヤーによっては不快感を覚える原因になるかも知れません。

勿論、敢えて悪い部分を取り上げているだけで、一度ハマれば止め時を失う面白さを持ったゲームなのも確かですよ。

ただ、これは残念な事と言うべきか、誇らしい事と言うべきか迷いますけれど、前作から大きな成長が無いゲームなんです。
細かい不満点を潰し、システム周り、映像周りを進化させていますけれど、ゲームとして、やること自体は前作とほぼ同じ。
迷宮に潜り、神様と子を設け、また迷宮に潜り、という。
前作のファンであればあるほど、やりこんだプレイヤーであればあるほど、また同じ事の繰り返しに飽いてしまう可能性があります。
前作の時点でほぼ完成形であった弊害ですね。
プレイしやすいのは確かですし、つまらないわけでも無いんですけれど、冒頭1年をプレイした限り、前作をプレイした身には新鮮味が無かったのも事実でして。

もちろん、中盤以降に驚きや、よりハマっていける何かがあるのかも知れませんけれど。
そこに行き着くまでの価値があるかどうかは、さて。
少なくとも自分には、まったくの新規の人ならともかく、前作をやりこんだであろう人に向けて、Vita本体ごと買っちゃいなYO、とは言えませんかね。

余程に楽しみか、著しく興味があるのでも無いのなら、発売後の評価待ち、様子見リスト入りという事で、ひとつ。