ここ数年、電子書籍元年とやらが毎年来ているような気がします。
でも、電子書籍が普及した、とまでは言えないんじゃないかとも思います。
あくまで、電子書籍読者が増加した、程度。
そも、実書籍も、一部のヒット作以外の鳴かず飛ばずの物は、掃いて捨てるほどあり、上向きとは言えない現状だと思います。
現代人の読書に割く時間が減っていると聞いた事もありますし、趣味が分散していっているんでしょう。
よく、電子書籍が普及するためにはどうすればいいか、なんて試行錯誤する人も居ますけれど、それが実書籍と分けての考えなら、休むに似たりというやつで。
いやいや、電子書籍は売れているさ、普及したと言えるともさ、なんて人も居るかも知れませんけれどね。
でも、見ていると本当にそうだろうかという事案も、ちらほら。
その最たるものが割引販売です。
割引販売できるからこその電子書籍というのも分かります。
買おうとしていた本が割引されていたら素直に嬉しいです。
でも、それは、あくまで買おうとしている時に安かったら、であって、安くなったら買おう、では無いんです。
だって、本当に欲しかったら割引されてなくても買いますし。
買う理由が、その物の真価を求めてでは無くて、単に値段なんだとしたら、それ、大した価値無いんじゃないですかね。
安いので買ってみたけど存外に良かった、という不意の出会いなんて事もあるので、その全てを否定するつもりはありませんけれど。
また、日本人は物に価値を求める傾向にあるのではないかとも思います。
それは即物的なのではなくて、物にも魂があるという、むしろ原始的な無意識とでも言うか。
つまり、実書籍には一冊ずつ物質としての魂の座がある。
ゆえに電子書籍を軽んじる人が少なからず居るのではないかと考えています。
それだけ実書籍が人間の生活に寄り添い続けてきた功罪と言うか。
貴方にとって犬猫とは何であるか、みたいな話に近いですかね。
人間と親しくなれる存在と考える人が多いでしょうけれど、国が違えば食材と見る人も居るでしょうし。
電子書籍は好かんと言う人は確かに居て、それは鯨保護活動家に鯨肉を食べさせる事に似た。
さて、あっちもこっちもそっちもどっちも、にっちもさっちもいかないようで。
魂の座をどこに据えるかは人それぞれ、という、お話。
- 作者: 保江邦夫
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